1年分の経理が終わったら決算整理をしましょう。
決算整理とは、ざっくりと言えば、日々の経理で登録した経費の内、経費にできないものを調整することです。
プライベートのお金とかそもそも経費にならないものは皆さん当然はじいていますよね?
ここでの「経費にできない」は、支払った年に一度に経費にできないという意味。
なので、決算整理とは支払った年に一度に経費にできない項目を翌年以降に按分してあげることを意味します。
今日は決算整理の内、最低限押さえておきたい項目を説明したいと思います。
なぜ1年分の経理が終わってから行うのか
商品を仕入れた、備品の注文して代金を先に支払った、セミナー代を支払った。
日々の登録では、それぞれ仕入高、消耗品費、研修費で登録していると思います。
ただ、商品であれば売れるまで、備品であれば納品されて使い始めるまで、セミナーであれば受講するまで経費になりません。
このため、年度末に残っている在庫、支払い済みだけど納品が翌年度になる備品、支払い済みだけど受講が翌年度のセミナーを経費から除く必要があります。
これらの登録は、日々の経理の段階で調整しておいても良いのですが、年度末の状況を見ないと確定できない項目も多いと思います。
また、個人事業主特有の調整項目に家事按分があります。
家事按分は、事業・プライベート共通の経費を事業分のみに調整する作業。
仮に、自宅兼事務所の家賃を日々の経理で全額経費にしていたのであれば、プライベート利用分を計算して経費から除かなければなりません。
freeeでは1年分の家事按分を家事按分機能を使ってまとめて行います。
これが、1年分の経理が終わってから決算整理をする理由になります。
代表的な決算整理項目
在庫
商品を仕入れて販売するタイプの事業では、年度末にどれだけの在庫が残っているかを確認し、それに単価をあてはめ在庫金額を計算。
この在庫金額を経費から除く必要があります。
在庫金額の確定~freee上の操作についてはこちらの記事で説明しています。
取引登録の方法と注意点 お金を払ったのに経費にならないケース② 在庫
(代金支払い済み)納品が翌年度になる物品・提供が翌年度になるサービス
勘定科目を前渡金※1に修正します。
経費になるタイミングはお金を支払った時ではなく、物が納品されて使い始めた時orサービスの提供を受けた時※2だからです。
前渡金は納品された年度に+更新という機能を使って経費にします。
取引登録の小技 +更新
※1 全て前渡金で良いかといわれると、厳密には勘定科目には細かい使い分けが存在します。
※2 例外的に商品や請負案件の外注費の場合、お客様に対して売上が立つまで経費になりません。
※1・2についての詳しい説明は個別コンサルティングをご利用ください。ケースに合わせてfreeeの登録までサポートいたします。
複数年分の利用料などを一度に支払った場合
仮に1月から12月が決算であれば1月から12月分のみが経費になるので残りの期間を前払費用として経費から抜く必要があります。
勘定科目を「前払費用」で登録して前受/前払入力アプリを使うと良いでしょう。
1年分であれば支払った時に一度に経費にすることができる短期前払費用の特例というものもありますが、一定の要件を満たす必要があります。
判定がちょっと難しいので、税務署に相談するか、個別コンサルティングをご利用ください。
個別コンサルティングは有料時間制相談ですが、税務相談とfreeeの操作をセットで解決できます。
10万円以上のパソコン等の固定資産
厳密には決算整理ではないかもしれませんが、日々の経理で10万円以上の固定資産を消耗品費として登録してしまうこともあるでしょう。
見つけた場合は勘定科目を固定資産に修正しましょう。
取引登録の時に勘定科目をクリックすると出てくる候補の内、こちらの項目になります。
ついでに固定資産台帳への登録を忘れていないか確認しましょう。
この辺は以下の過去記事をご参照ください。
ちなみに、30万円未満なら一括して経費にすることができる少額減価償却資産の特例というのもあります。
ひとり社長のためのfreee超初心者塾 固定資産の登録② 少額減価償却資産の特例を使う場合
フリーランスのためのfreee超初心者塾 固定資産の登録 補足 少額減価償却資産の特例を使う場合
10万円未満の固定資産
納品されたけど年度内に使い始めていないものは経費になりません。
調整が面倒なので、年度末に購入したものはすぐに使い始めるようにスケジュールを調整しましょう。
家事按分
個人事業主に特有の家事按分についてはこちらの記事をご参照ください。
フリーランスの確定申告の注意点 freeeでこれから2021年分の確定申告を始める方へのメッセージ③
freeeの操作方法はこの記事で十分だと思いますが、何より難しいのが事業利用比率の決め方。
初めての時は税務署に相談するか、個別コンサルティングをご利用いただくことをお勧めいたします。
まとめ
1年分の経理が終わったら、決算整理で支払った年度の経費になるものと、翌年度以降の経費になるものを調整してあげます。
・在庫
・納品が翌年度になる物品・提供が翌年度になるサービス
・複数年分の利用料などを一度に支払った場合
この辺が代表的なもの。
個人事業主に特有の論点としては家事按分。
厳密には決算整理ではありませんが、パソコン等の固定資産にも注意しましょう。
繰り返しになりますが、決算整理は慣れるまでは難しいです。
税務署にこまめに相談する。有料時間制相談の個別コンサルティングを利用して慎重に進めましょう!