フリーランスの確定申告の注意点 freeeでこれから2021年分の確定申告を始める方へのメッセージ③

freee専門税理士の土橋です!

このシリーズも長くなってきました。
今日は事業専用の口座を持っていない方の経費の情報収集・登録についてです。

この記事は前回前々回からの続きになっています。

それでは早速行ってみましょう!

経費

10万円以上の固定資産

こちらのヘルプを参考に1個1個登録してください。
ヘルプ中の支出取引の口座はやはり「プライベート資金」を選びます。
これで、事業の経費をプライベートなお金で立て替えたという意味になります。

【個人】固定資産を登録する(固定資産台帳)

10万円以上の固定資産以外

基本方針は売上と同じです。Excelファイルを作ってエクセルインポートで取り込みます。

ちなみに、今回はシンプルにするためにサービス業(仕入や在庫が無い方)を前提とします。

領収証・レシート・請求書からリストを作りましょう!
発生日は原則支払った日で入れておけば後で怒られることは少ないでしょう。

特殊なケースを二つ紹介しておきます。

①支払ったけど経費にしてはいけないケース
例 12月中に1月開催のセミナーの受講料を支払った
2021年中にサービスを受けていない場合は2021年のリストからは外しましょう。
この場合2022年の経費になります。

②まだ支払っていないけど経費になるケース
例 2021年中に仕事が完了している外注費で支払いが2022年になる場合
2021年中にサービスを受けている場合は2021年の経費になります。
発生日は請求書の日付が2021年12月31日以前であれば請求書の日付で、2022年1月の日付であれば2021年12月31日としておきましょう。

その他、経費の基本的な考え方についてはこちらの記事をご参照ください。
フリーランスの方がお一人でHP制作などをしている場合には関係ありませんが、一部仕事を外注している場合には「費用収益対応の原則」にも注意が必要です。

この辺結構難しいので悩んだら適当に判断せずに税務署に電話で聞いてみましょう。

今回用意するリストはこんな感じです。

売上の時と違うのはまずは「勘定科目」です。
売上の時は勘定科目は「売上高」だけだったのでエクセルインポートの時にまとめて設定することができましたが、経費の場合には色々な勘定科目があります。
なので、それぞれの項目を何の勘定科目で集計するのかをあらかじめ決めておく必要があります

勘定科目はこの辺を参考にするといいでしょう。
freee取引入力ナビ
勘定科目はどう選べばよい?

以前の記事にも書きましたが大切なのはそれが事業の経費かどうかです。
それさえ間違えなければ勘定科目を間違っても大きな問題にはなりません。

次に「備考」です。
ここは何を書いておかなければならないのか明確に決まっているわけではありませんが、支払先、内容は最低限必要です。
更に、会議費・交際費はどこの誰に対するものなのか、その人との関係も入れておきましょう。
あとで見直した時にその時の映像が頭に浮かぶように書いておくのがポイントです。

最後に「品目」。これを設定しておくと通信費の内、「自宅兼事務所」という品目がついているものだけを集計することができます。「自宅兼事務所」という品目がついているものだけ家事按分するといった使い方ができます。

家事按分についてはこちらのヘルプをご確認ください。

「品目」は必要に応じてつけてください。

ファイルができたらfreeeに取り込みます。

エクセルインポートまでは売上と同じです。

今回は経費なので①「支出取引」、②先ほどのファイルを読み込みます。
③ファイルに数式が入っている場合にはチェックを入れておきましょう。

①売上と同じく「税込」を選び、②各列に発生日・勘定科目・金額・備考・(必要であれば)品目を割り付けます。
元のファイルの1行目は使わないので③「無視」にチェックを入れておきます。
終わったら④設定。

⑤今回は「決済」を選びます。
⑥「プライベート資金」。これはプライベートの口座から経費を支払ったことを意味します。
⑦最後に設定。

①Excelファイルのデータ件数と一致していることを確認してください、②未登録の品目が一気に登録されます。③確認が終わったら「登録する」。

インポート履歴に飛びます。「登録された取引」をクリック。

Excelファイルが無事に経費として登録されました。

家事按分

一通り経費を登録したら家事按分を登録しましょう。
事業とプライベート共用の経費に事業利用比率をかけて事業利用分のみに調整します。
ここで先程の「品目」が活きてきます。

メニュ―の確定申告から家事按分をクリック。

新しい家事按分を登録

Excelのリストにあった自宅兼事務所のインターネットを登録してみます。
①勘定科目は「通信費」、②品目名「自宅兼事務所」、③事業利用比率は仮に30%とします。
入力し終わったら保存を押しましょう。

詳しくは説明しませんが、③の比率は適当ではダメです。これは、事業利用分を明らかに区分できることが経費化の要件になっているためです。
法律上こうしなさいという方法が決まっているわけではありませんが、質問された場合に答えられるようなるべく合理的な方法で計算するとともにその計算根拠は残しておきましょう。

自宅のインターネット代であれば、例えば 自宅での事業活動時間/自宅での総活動時間 で計算することが考えられます。

家事按分が登録されました。まだルールが登録されただけで計算されていないので「再計算」を押します。

計算が完了しました。総額13,200円の内、先ほど設定した30%相当の3,960円が事業利用分になっています。

試算表でも確認してみましょう。
品目別の集計結果を見ると3,960円だけが経費になっていることがわかります。

こちらの記事にも書きましたが家事按分対象(今回の場合、品目「自宅兼事務所」の通信費)の金額を変えた場合、そのままでは再計算されないので注意が必要です。
必ず家事按分の画面で「再計算」を押しましょう!

チェック

これで試算表は大体形になったと思います。
でも、これで終わりにしてはいけません。必ず出来上がった試算表のチェックをしましょう。
試算表のチェックの基本的な考え方はこちらの記事に、各勘定科目別のチェック方法はこちらのタグにありますので納得できるまでチェックしましょう。

まとめ

前回と今回で事業専用口座を持っていない方が今から2021年分の試算表を作る方法について考えてみました。

繰り返しになりますが、この方法は今回の確定申告を何とか乗り切るための方法ですので2022年からは日々きちんと経理をしましょう。

そして、この方法は×ではありませんが完全な〇でもない△寄りの〇の方法になります。
税金計算に影響する売上・経費の正確性に重点を置いてはいますが、貸借対照表の正確性を一部犠牲にしているためです。

なぜ売上・経費の正確性に重点を置いているのかはこちらの記事で説明しています。

今回の方法を採用されるかどうかはくれぐれも自己責任でお願いいたします。

雑談

大雪かと思いきや私の近所ではほとんど雪は降らず、今日はとても暖かいです。
ブログを書いている時に平野歩夢選手の金メダルのニュースが入ってきました。
普段からスノーボードを追いかけているわけではありませんがやはり金メダルはテンションが上がります!