freee専門税理士の土橋です!
今日は前に書いた取引登録結果のチェックとは何をすれば良いか?の各論として貸借対照表の勘定科目である預り金について書きたいと思います。
ちなみに貸借対照表についてはこちら。
フリーランスのためのfreee超初心者塾 チェック編 試算表って何?
ひとり社長のためのfreee超初心者塾 チェックの基本 試算表って何?
預り金は貸借対照表の内、負債の勘定科目になります。
チェックの基本的な考え方についてはこちらの記事をお読みください!
まずは復習です。
取引登録結果のチェックとは、試算表の各勘定科目が正常な状態かを確認することでした。
そして、正常とは①・②のどちらかの状態のことを意味します。
①正解と一致している状態
②こうなっているはず!という理論値を自分で計算し、その理論値と一致している状態。
①・②のどちらになるのかは勘定科目により決まる。
預り金は②の勘定科目になります。
預り金とは
こちらの記事にも出て来ますが、この勘定科目はお給料から社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)、源泉所得税、住民税を天引きした時に使います。
天引きした時に増え、それぞれを日本年金機構、税務署、自治体に支払った時に減ります。
理論値
社会保険料
社会保険料は当月分を翌月末までに納付します。
翌月末が休日の場合にはその次の最初の営業日が期限です。
お給料から天引きする場合、原則的としてある月に支払うお給料の前月分の社会保険料を天引きします。
例えば、3月に支払うお給料であれば2月分の社会保険料を天引きします。
2月分の社会保険料は3月末に支払いますので、3月末が休日でない限りは天引きした預り金は3月末時点ではなくなっているはずです。
よって、理論値は原則ゼロ。但し、事業年度末が休日の場合は原則として事業年度末の月に天引きした分が残ります。
源泉所得税
ある月に支払ったお給料から天引きした分を翌月10日までに納税するのが原則です。
但し、10日が休日の場合はその次の最初の営業日が期限です。
よって、原則的な方法の場合、理論値は事業年度末の月に天引きした分になります。
これに対して納期の特例という方法もあります。
No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例
申請書の提出が必要ですが、こちらの特例を使うと1月~6月に天引きした分を7月10日に、7月~12月に天引きした分を翌年1月20日と納税を年2回にすることができます。
この場合の理論値は、仮に2022年3月決算の会社の場合、2021年6月天引き分までは2021年7月10日に納税済みなので、2021年7月~2022年3月天引き分の合計になります。
住民税
ひとり社長さんやフリーランスの方の場合、お給料から天引きしない方法も使えるのでここでは説明を省略します。
ちなみに、天引きしない方法を普通徴収、天引きする方法を特別徴収と呼びます。
普通徴収の場合はお給料をもらった人が自分で納税するのに対し、特別徴収の場合はお給料を払った人が天引きして納税します。
理論値と合わない場合の対処方法
下準備
預り金を登録する時に「品目」タグをつけておきましょう。
具体的には「源泉所得税」、「社会保険料」というタグをつけておきます。
これにより、貸借対照表の預り金を品目単位で集計できるため、効率的に調査できます。
フリーランスのための超初心者塾 タグの使い方 「取引先」・「品目」の基礎知識
ひとり社長のための超初心者塾 タグの使い方 「取引先」・「品目」の基礎知識
対処方法
先程の「品目」タグごとに理論値と照合し、不一致の場合は原因を調査していきます。
不一致品目の残高をクリック、総勘定元帳を立ち上げ、内容を調査していくという流れになります。
総勘定元帳の立ち上げまではこちらの売掛金の記事が参考になると思います。
売掛金は試算表を「取引先別」に展開していますが、預り金は「品目別」に展開しましょう。
総勘定元帳の見方も少し違いがあり、売掛金の場合は、前月残+借方金額-貸方金額=残高になりますが、預り金の場合は、前月残+貸方金額-借方金額=残高になります。
ちなみに、貸方金額には天引きした額が、借方金額には納付・納税した額が入ります。
この考え方を前提に、理論値とのズレの原因を調査・修正していきます。
まとめ
今日は久々の取引登録結果のチェックとして預り金を書きました。
こちらは主にはひとり社長さん向けの記事になるかもしれません。
取引件数は増減合わせて2件ぐらいだと思うので、考え方さえ知っていればそれほど苦労せずに正常な状態を保てると思います!