freeeの使い方 振替伝票機能をお勧めしない理由と使いどころ

皆さんの中に、振替伝票をメインで使っていてfreeeは使いにくい!と思っていらっしゃる方はいらっしゃいませんか?

私も弥生会計から乗り換えた時にはそうでした。

まだアドバイザーとしての教育を受ける前だったので、振替伝票を多用しては、なんて使いにくいんだ💢と勝手に憤慨していたものです(笑)

でも、振替伝票メインのfreeeは力の半分も発揮できていません💦
振替伝票って、会計ソフトに慣れた方には馴染みがありますが、freeeの中ではその良さを奪ってしまう存在です。

freeeでは仕訳を登録するのではなく取引・口座振替を登録します。

お悩み相談室 freeeを始めて使う方が知っておいた方が良い用語 口座振替・取引

この取引・口座振替を登録すると副産物として仕訳が作成される仕様です。そして、取引・口座振替だけで基本的に決算まで行けます。

なので、振替伝票はいったんゲーム感覚で禁止。

振替伝票を使いそうになったら、取引と口座振替でどうにかできないか考えてみましょう!

私もこのように考えるようになってからfreeeがだんだん好きになってきました。

今日は、振替伝票を禁止するモチベーションにつながるように、振替伝票を使わない方が良い理由についてお話しします。

そうはいっても振替伝票じゃないと解決できない場合もあります。なので、あわせて使いどころについてもお話ししますね。

振替伝票機能の紹介

取引・口座振替を登録すると仕訳が作成される。これがfreeeの基本的な考え方です。

ただ、freeeにも直接仕訳を登録する機能があります。それが振替伝票。

振替伝票って何?という方向けに、ざっくり振替伝票機能を紹介しておきますね。

ホーム画面の①決算申告の中に②振替伝票メニューがあります。

こんな画面です。
いかがでしょう、会計ソフトを使ったことがある方にはなんとなく馴染みのある画面ですよね。

会計ソフトに慣れた方が振替伝票を使いたくなる理由

繰り返しになりますが、基本的には自動で経理、手動での取引登録・口座振替だけで十分です。

freeeの使い方 自動で経理、それとも手動で登録?初心者が簡単に見分ける方法

でも、会計ソフトに慣れた方って仕訳を使いたくなっちゃうんですよね…。
私も使い始めた当初はそうでした。

・仕訳という考え方に慣れている

・会計ソフトが仕訳を登録する考え方のものが多いから同じ感覚で使ってしまう(今はfreee専門なので他の会計ソフトをよく知らず、誤解があればもう申し訳ありません)

この辺が理由かと。

ただ、私は以下の理由から振替伝票を使わない方が良いと考えています。

振替伝票を使わないことをお勧めする理由

非効率

クラウド全般の宿命なのですが、動きがもっさりしているので、大量のデータの手入力には向きません。

パソコンにインストールして使う弥生会計などと同じように使うと相当ストレスが溜まります。

また、振替伝票は右・左両方の情報を入力しなければならないので単純に入力項目が多いです。

そして、テンプレートは使えますが、自動登録ルールも使えないし、画像の添付もできない、あまり効率化する余地が見当たりません。

どんな仕訳でも登録できてしまうので危険

例えばこんな仕訳を登録することができます。
仕訳の意味がわからん💦という方はスルーでOK。振替伝票は使わない方がよさそうということだけ意識してください。

工具器具備品/売上高

右側に売上高が来ているってことはお客様に何かを販売した…、左側に工具器具備品が来ているってことは備品をもらった…、なにこれ、売上の代金を備品でもらったとかかしら?

世の中色々なことがあるので、全くあり得ない取引ではないんでしょうが、少なくとも私の感覚では普通の取引ではありません。

取引や口座振替の登録では、freeeが認識していない口座は選択できない、請求書を発行すれば 売掛金/売上高 の取引が登録されるとか、商取引の各アクションとそれに対応する仕訳がある程度整合するように制御をかけてくれています。

これに対して、振替伝票ではどんな仕訳でも登録できてしまう。

存在すら知らない方もいらっしゃると思いますので、振替伝票を使う方はある程度会計知識のある方だとは思います。

ただ、会社の決算を自分一人で正しく組めるレベルの方以外、なんの制御もないというのは相当危険なことだと思います。

取引の流れをつかむのが大変

詳しくはこちらの記事をご参照ください。

お悩み相談室 freeeを始めて使う方が知っておいた方が良い用語 取引と仕訳の違い

記事で説明しているのは、①お客様に前払いの請求書を発行⇒②入金⇒③納品完了・お客様からOKをもらう、という一連の取引になります。

「取引」であれば、+更新、未決済取引の消込という機能を使って、①~③の仕訳をひとつの取引の中で表現できます。

請求書を発行した最初の「取引」をつかめば、それがいつ入金されて、いつ前受金から売上高に振り替えられたのか、一連の仕訳をつかむことができます。

これに対して、振替伝票の場合は①~③をバラバラの仕訳として登録するので、個々の仕訳を見ただけでは今回の取引の一連の流れをつかむことができません。

ついでに、振替伝票には+更新機能がない、未決済取引が使いにくいという理由から、①の仕訳に②・③を紐付けることは難しいでしょう。

取引と振替伝票は検索の窓口が別なので混在すると探すのが大変

取引のところでは振替伝票を検索できず、振替伝票の方では取引を検索することができません。

仮に、先ほどの例の①~③のアクションを、①・②は取引で登録、③を振替伝票で登録した場合、取引を検索しても①・②はつかめますが③はつかめず、振替電報を検索しても③はつかめますが、①・②はつかめません。

なので、日々の経理で取引と振替伝票を混ぜてしまうと、後で見直す時に手間がかかります。
まあ、試算表から確認するとか方法がないわけではないのですが…。

取引における各業務と仕訳の登録が分かれてしまい、結果2度手間になる。

また先ほどの例の①~③のお話しになります。

取引で登録する場合

①~③の各アクションと仕訳の登録の関係は以下の通りです。

①freeeで請求書を発行⇒仕訳が登録 売掛金/前受金

②freeeで請求書の入金確認(未決済取引の消込)⇒仕訳が登録 売掛金/三井住友

③freeeで前受金を+更新⇒仕訳が登録 前受金/売上高

③はちょっと違いますが、①・②は必要なアクションを行うと同時に仕訳が登録されます。

次に、振替伝票の場合を見てみましょう。

振替伝票で登録する場合

①請求書を発行⇒②振替伝票を登録 売掛金/前受金

③リアル口座で入金確認⇒④振替伝票を登録 売掛金/三井住友

⑤振替伝票を登録 前受金/売上高

①・②、③・④は別作業なので単純に業務の数だけ言えば2倍になります。
そして、①はやったけど②を忘れる、③はやったけど④を忘れる、といった具合にfreeeの登録漏れのリスクもあります。

このような点からも振替伝票ではなく、取引での登録をお勧めしています。

振替伝票の使いどころ

今まで否定的な意見ばかりでしたが、だからと言って振替伝票がいらないとは言っていません。

ということで、振替伝票の使いどころのお話しをしておきます。

先ほど、どんな仕訳でも登録できてしまうので危険、というお話しをしました。

実はこの点が役に立つ場面があります。例えば以下の①・②のようなケース。

①去年まで使っていた勘定科目を変更したい。例えば短期借入金⇒役員借入金。

②「取引先」・「品目」間違いを見つけたが数が多くて一つ一つ直すのに相当な手間がかかる。

①のケース

期首(3月決算であれば4月1日)で振替伝票を使って、短期借入金/役員借入金という仕訳を登録します。

本当は年度締めを解除して過去にさかのぼって修正したいところですが、既に申告済みの情報を修正したくはありません。

【法人】年度締めを行う

更に、利益は変わらないので税金も変わらない、短期借入金・役員借入金も借入金という性質に変わりはなく、去年の申告書で短期借入金が役員に対するものであることは明示しています。

【参考 利益と税金の関係】
freeeの使い方 正しい登録方法のマスターは正しい確定申告につながる

このような軽微な修正は振替伝票の出番でしょう。

②のケース

本来は取引を一つずつ修正すべきですが、申告まで時間がない。

この場合、とりあえず振替伝票で修正してしまって、来期以降正しく運用するというのも一つの選択です。

この場合はこんな仕訳を振替伝票で登録します。
例えば、全てA社に対する未収入金だったが、取引先タグをつけているものとつけていないものがあった。

未収入金 取引先「A社」/未収入金 取引先「なし」

①・②のケースともに振替伝票じゃないと入れられない仕訳です。

振替伝票を使わないと修正できない場合とは、口座に関係ないお金の動かない修正(減価償却を除く)になります。

反対に、これ以外は全て取引・口座振替で対応できます。

いかがでしょうか?

最初に、取引・口座振替だけで基本的に決算まで行けます、と言った理由がなんとなくイメージできましたでしょうか?

まとめ

・取引・口座振替だけで基本的に決算まで完了できる

・振替伝票はないと困るがデメリットもたくさん

・振替伝票を使わないと解決できないケースは勘定科目の修正といった極々限られた局面

この辺が今回のポイントです。

もし振替伝票メインで苦労されている方がいらっしゃればちょっと見方を変えてみていただければと思います。

今回に限らず、freeeについてわからない点やもっと詳しく知りたい点があれば個別コンサルティングをご利用ください。

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